グループホームの費用 ①
2020年05月29日
コラム記事
はじめに
グループホームっていろいろとお金がかかりそう、あとから生じる自己負担についても心配だという方もたくさんいらっしゃるかもしれません。
では、具体的に費用はどれくらいかかるものなのでしょうか?
ここでは、障がい者グループホームである「共同生活援助」と認知症グループホームである「認知症対応型共同生活介護」に分けて、具体例を挙げながら必要な費用の目安をご説明したいと思います。
共同生活援助(障がい者グループホーム)
月額費用はおおよそ6万円~8万円程度で、内訳として家賃や管理費などの居住費、食費などが挙げられます。
必要利用料
(1) 障害福祉サービス利用料
一人で多くのサービスを利用すると、利用者負担が高額になってしまうので、サービスの利用を控えることになりかねません。
そうしたことを防ぐため、月ごとの利用者負担額には、利用者とその配偶者の所得に応じて上限額が定められています。
この上限額は4つに区分されています。
☆障害福祉サービス利用料
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(注1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く(注3) |
9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(注1)3人世帯で障がい者基礎年金1級受給者の場合、収入がおおむね300万円以下の世帯が対象となります。
(注2)収入がおおむね600万円以下の世帯が対象となります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」となります。
☆所得を判断する際の世帯の範囲
種別 | 世帯の範囲 |
---|---|
18歳以上の障がい者(施設に入所する18,19歳を除く) | 障がいのある方とその配偶者 |
障がい児(施設に入所する18,19歳を含む) | 保護者の属する住民基本台帳での世帯 |
(2) グループホーム(共同生活援助)利用中の食費・家賃・光熱費など
グループホームによって料金設定は異なりますが、すべて合わせて6~8万円前後の価格に抑えている所が多いです。
利用する際は月額1万円の家賃補助を受けることで家賃を抑えることができます。
グループホームの家賃補助制度
グループホームには家賃補助制度があります。対象は「市町村民税非課税世帯」、または、「生活保護」の方です。
事前に申請することで、入居者1人当たりの家賃月額1万円を上限とした助成があります。
家賃が1万円未満の場合には、実費相当分が支給されます。
国からの補助額は1万円ですが、独自の家賃助成制度を設ける自治体もあります。
例えば千葉県館山市では、家賃額から国の補助金である1万円を引いた額の1/2(上限25,000円)が補助されます。
グループホームの家賃が46,000円だとすると、国からの補助金である1万円を引いて36,000円、さらにその半分の18,000円が補助されるので、利用者が負担する家賃は18,000円ということになります。☆千葉県館山市のグループホームの例
家賃 46,000円 光熱水費 16,000円 食費(1食あたり) 450円 日用品 2,000円 管理費 1,000円 その他費用(おむつ代、介護用ベッドレンタル費など)あり
障害基礎年金2級、特別障害給付を受け月96,200円の収入のある方が上記のグループホームを利用しているとします。
グループホーム基本利用料 85,600円 おむつ代 6,600円 日中事業所支払い 4,000円 通院交通費 5,000円 合計 103,700円(7,500円不足)
このままでは毎月7,500円不足してしまいますが、家賃補助を受けて毎月の家賃を18,000円にすることで、月平均10,500円の余裕が生まれます。
認知症対応型共同生活介護
(認知症グループホーム)
入居時にかかる費用として入居一時金などの初期費用があります。支払う額は0円から100万円程度まで開きがあるのが特徴です。
全国の入居一時金の平均は10万円、月額利用料の平均は13.7万円です。
入居一時金
入居一時金とはグループホームに入居する際に必要なお金で、一般の賃貸で言う「敷金」にあたります。
入居一時金の相場は数万から20万ほどですが、なかには入居一時金が0円のグループホームや100万円以上のグループホームもあります。
月々にかかる費用
介護保険+日常生活費です。
☆日常生活費の相場
家賃 | 56,000円 |
管理費 | 12,000円 |
食費 | 38,000円 |
光熱水費 | 12,000円 |
その他 | 4,000円 |
合計 | 126,000円 |
認知症グループホームのサービス加算について
認知症グループホームでは、24時間体制で利用者のケアを行う看取り介護や、スタッフを増員した手厚い介護体制などによりさまざまな加算処置がとられ、サービス加算として利用者に負担がかかっています。
→サービス加算とは
介護保険施設やグループホームにおいて認知症介護で一定の経験を持つ者で、国や自治体が行っている認知症介護指導者研修の修了者である専門の者が介護サービスを行うことに対して評価をするものです。
まとめ
障がい者グループホームでのトータルの月額費用は6万~8万円ほどで、障害年金の範囲内で暮らせるグループホームもあります。月額1万円の家賃補助を受けることで家賃を抑えることができ、自治体によってはさらに補助を受けられるところもあります。
認知症グループホームでは入居一時金などの初期費用が存在し、月額料金も障がい者グループホームより高く、入居一時金の平均額は約10万円、月額費用の平均は13.7万円です。
このように、グループホームの費用はある程度の補助が受けられるとはいえそれなりに負担が生じるため、倹約が必要になるかもしれません。