グランエミシス

エミシスだより

精神障害者保健福祉手帳

2020年08月27日

コラム記事

はじめに

医者から取得を勧められたのだけど、精神障害者保健福祉手帳ってそもそも何?

取得するとどんな利点があるの?面倒じゃないの?など疑問が浮かぶと思います。

精神の障害者手帳とは何か、そして申請方法やメリット・デメリットなどを一緒に見ていきましょう。

精神障害者保健福祉手帳について

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患や発達障がいのある方が取得できる障害者手帳です。
手帳の表紙には【障害者手帳】のみ記入されているため、精神の障がいであることは判別できないようになっています。
「精神保健福祉法」で定められた制度で、症状や生活における支障の程度によって
3級から1級に分けられています。数字が大きいほど障がいの程度が軽いです。

精神障害者保険福祉手帳の対象者

  • 統合失調症
  • うつ病、双極性障がいなどの気分障がい
  • てんかん
  • 薬物やアルコールによる急性中毒やその依存症
  • 高次脳機能障がい
  • 発達障がい  など

知的障がい・身体障がいがある場合など、複数の障がいがある場合は両方の手帳の交付を受けられる場合があります。

手帳の申請

申請の条件は、診断から6ヶ月以上経っていることです。以前かかっていた病院で診断を受けた場合も可能です。

申請に必要なもの

・申請書
・診断書(精神障害者保健福祉手帳用)または障害年金証書の写しなど
・顔写真(縦4センチ×横3センチの場合が多い)
・マイナンバーがわかるもの(個人番号カードか、通知カード+運転免許証やパスポートなどの身元確認書類)
代理人が申請する場合は、これに加えて代理権の確認書類(委任状や申請者本人の健康保険証など)や代理人の身元確認書類(個人番号カードや運転免許証)が必要

申請の流れ

1.障がい福祉担当窓口で「診断書(障害者保健福祉手帳用)」の用紙を入手する。
2.精神疾患の診察をしている主治医・専門医に「診断書」を記入してもらう。
3.市区町村の障がい福祉担当窓口に、「申請書」、「診断書」、写真を提出し申請。マイナンバーがわかるものも必要になります。
4.審査され、障がい等級が決定します。
5.およそ1ヶ月~4ヶ月で手帳を受け取れます。

手帳申請用の診断書は通常の診断書より割高なので財布には余裕を持っておきましょう。
申請から交付まで1ヶ月から4ヶ月かかります。
身体・療育手帳と違って、精神障害者保健福祉手帳は2年ごとの更新が必要です。

代理人による申請も可能ですが、代理権の確認書類(委任状や申請者本人の健康保険証など)と、代理人の身元確認書類(個人番号カードや運転免許証)が必要になってきます。

障害者保健福祉手帳を取得した場合に受けられるサービス

・所得税、住民税、自動車税などが軽減される。
・等級によっては医療補助がある。
・NHK受信料、上下水道料金、公共交通機関の運賃など、公共料金の割引。
・携帯電話料金の割引。
・美術館、博物館。映画館などで割引サービスを受けられる。
・会社によっては航空会社や高速バスなども割引。
・障がい者雇用で働ける。障がいをオープンにせず働くこともできます。※1
・失業保険の受給期間が健常者より長い。※2

※1 障がい者雇用のメリット、デメリット

 

【メリット】

・障がいをオープンにして働けるので、入社時から障がいについて配慮を求めることができる。
・障がい者に対する支援制度を利用できる。
・採用後どのような処遇がなされるか、支援体制があるかなど、働く前に知りたい内容が手に入りやすい。
・一般枠より競争率が下がる。

 

【デメリット】

・障がい者雇用のある企業は限られている。
・雇用形態は非正規が多く、給与も少ない。
・簡単な仕事しか与えられず、やりがいのある仕事ができない。
・必ずしも理解がある、配慮を得られるとは限らない

※2 失業保険の給付は、一般受給者と障がい者で受給条件や給付日数に大きな違いがあります。
一般受給者の場合、雇用保険の加入期間が1年以上10年未満の場合「90日間の支給」ですが、障がい者の場合は「300日以上」です。
障がい者が失業保険を受給するための条件ですが、「離職前1年間に被保険者期間が通算し6ヶ月以上あること」です。

*1年未満で失業保険が受給できる場合は会社都合(倒産や解雇など)で退職した場合になります。

また、自己都合で退職した場合は、失業保険が受給できるまでに「7日間の待機期間」と「3ヶ月の給付制限」を受けることになりますが、特定の事情で退職した方は「特定理由離職者」に該当し、給付制限の3ヶ月間が免除されます。

等級基準の目安

1級:精神障がいがあって身のまわりのことがほとんどできないか、日常生活に著しい制限を受けており常時援助を必要とする程度のもの。

2級:精神障がいがあって日常生活もしくは社会生活が著しい制限を受けるか、または著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

3級:精神障がいがあって日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、また制限を加えることを必要とする程度のもの。

判断基準

厚生労働省のHPから

まとめ

精神障害者保健福祉手帳とはどのようなものかまた取得するとどんなメリットがあるかということがおわかりいただけましたか? デメリットは少ないと思います。
手帳を持つことに抵抗がある、という方は、手帳を取得しなくても受けられる福祉サービス(障害年金や、自立支援医療[精神病院の通院])を申請するとよいでしょう。

手帳を取得しようかなと思ったら、お医者さんや市区町村の担当窓口の方に相談してみてください。