グランエミシス

エミシスだより

統合失調症の方はグループホームに入れるのか

2021年02月19日

コラム記事

はじめに

統合失調症とはどんな病気なのか、統合失調症の方がグループホームに入ることはできるのかなどについて調べました。

統合失調症とは

統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。おおよそ100人に1人弱がかかるといわれています。
症状としては、幻覚、妄想、生活の障害、病識の障害などが挙げられます。
何らかの原因でさまざまな情報や刺激に過敏になりすぎてしまうと、脳が対応できなくなり、精神機能のネットワークがうまく働かなくなることがあり、感情や思考をまとめることができなくなります。
この状態が統合失調症です。

 

統合失調症には3つの病型があります

<破瓜(はか)型(解体型)>
意識低下や感情の平板化が中心

思春期から青年期にかけて発病することが多いために破瓜型と呼ばれます。
最初に感情の起伏がなくなったり、意欲が減退したりするなどの陰性症状が現れ、そのあと徐々に陽性症状が出てきます。
慢性化することが多く、人柄が変わってしまうなど予後はあまりよくないとされています。

<緊張型>
極度の緊張や奇妙な行動が特徴

青年期に急に発病します。大声で叫んだり、奇妙な姿勢をとったりするなどの緊張病症候群や行動の異常などがみられます。
再発がまれではなく多くは数ヵ月で消滅しますが、再発するたびに破瓜型に似た病状に変化していく場合があります。
人柄が変わってしまうことは少ないため、破瓜型より予後がいいとされています。

<妄想型>
幻覚や妄想が中心

破瓜型や緊張型よりも発病年齢が遅く、多くは30歳前後に発病します。
幻覚や妄想が中心で、陰性症状はそれほど現れません。
こちらも予後が良いとされており、対人のコミュニケーションは比較的良好に保たれていることが多く、人柄の変化もあまり目立ちません。

 

症状

陽性症状と呼ばれる、幻覚などの激しい症状と、陰性症状と呼ばれる傍目にはわからない意欲の減退などの症状が発生します。

 

 

4段階のステージ

統合失調症には4段階のステージがあります。

〖前兆期〗
目立った症状はありませんが、何となく変だと感じるようになります。眠れなかったり、イライラしたり集中力が低下するなどの症状が続きます。

〖急性期〗
幻覚や妄想など体験します。自分の中で何かが変だと感じながらも、病識が障害され、自分が病気だと思えなかったり他人から見ておかしな行動をしたりすることがあります。周りの出来事に敏感になり不安や緊張を強く感じます。

〖消耗期(休息期)〗
幻覚や妄想などの症状は少なくなりますが、元気がなくなったり、やる気が起こらなくなったりします。
これは急性期に心と体のエネルギーをたくさん使ってしまったことが原因と考えられます。

〖回復期〗
少しずつ心も体も安定して元気が出てきます。再発予防のためには薬を欠かさず飲みましょう。

治療法としては、外来と入院があります。
薬物療法か心理社会的な治療を組み合わせて行います。
またリハビリテーションで生きる意欲と希望を回復し、充実した人生を目指すことも可能です。

 

統合失調症患者さんと暮らす悩み

統合失調症の治療においてご家族は大きな力となります。
しかし時間やエネルギーをご本人のために使い果たしてしまうと、ゆとりがなくなって家庭環境が悪くなり、悪影響を与えてしまいます。
統合失調症患者のご家族を支えるためのさまざまな社会制度や、支援してくれる人のネットワークの1つをご紹介します。

グループホーム

グループホームとは、障害者総合支援法の共同生活援助という事業で、知的障がい者や精神障害をお持ちの方が入居することができ、日常生活の支援をおこなってくれる居住支援施設です。
平成20年6月時点では全国で約19,000人の方が入居しそのうち45%を精神障害の方が占めると言われています。

統合失調症やうつ病などさまざまな病気をお持ちの方がいます。

グループホームを利用したい場合、病院の主治医や精神科ソーシャルワーカーのほか、地域の相談窓口などに相談してみるとよいでしょう。

費用

障がい者グループホームはあくまでも生活の場を提供することになるので、基本的にグループホームの家賃などで介護保険や医療保険を利用することはできません。

月額費用はおおよそ6万~8万円程度です。

費用としては
1、障がい者グループホームに対する利用料
2、障がい者グループホームを利用するにあたって必要となる食事費など
3、就労サービスやデイサービスなどの利用料
4、就労サービスやデイサービスを利用する際に必要な食材費
5、その他の諸費用

障がい者グループホームや就労サービスの利用料は、生活保護または非課税世帯などの低所得者層の方は利用料がかかりません。

また、保険などは適用できませんが家賃補助制度があります。対象は「市町村民税非課税世帯」または「生活保護」の方々です。

事前に申請することで、入居者1人当たりの家賃月額1万円を上限とした助成があります。
家賃が1万円の未満の場合には、実費相当分が支給されます。
国からは1万円、自治体によっては独自の家賃助成がある場合もあります。

まとめ

統合失調症の治療は薬が欠かせません。
薬による治療を継続し、グループホームなど家庭外の施設を頼ってみたり、ご本人にとって良いと思う環境づくりをしてあげましょう。
社会との接点を持つことも治療となるため、グループホームは良い手段と言えます。