グランエミシス

エミシスだより

障害者グループホームの立ち上げ

2020年12月15日

コラム記事

 

はじめに

障がい者のグループホームを立ち上げるためにはどのような形で進めていけばいいのか、
また、どのくらいの人員、費用、設備が必要なのかを取り上げたいと思います。
事業者として、障がい者向けのグループホームを立ち上げるためにはどのような手順等が求められるのでしょうか。

 

障がい者グループホームを立ち上げるのに必要な手順、費用、人員、設置基準など

まず共同生活援助事業(グループホーム)には3種類あります。

  1. 介護サービス包括型(事業者が自ら行う)
    事業所において、家事や相談等の日常生活上の援助(基本サービス)を行い、かつ事業所の生活支援員により、食事や入浴、排せつ等の介護サービスを提供します。
  2. 外部サービス利用型
    事業所において家事や相談等の日常生活上の援助(基本サービス)を行いますが、食事や入浴、排せつ等の介護サービスについては委託している外部の居宅介護事業所が行います。
    外部サービス利用型では生活支援員の配置は不要となり、前述①より人員基準が緩やかです。
  3. 日中サービス支援型
    日中もグループホームで過ごす方を主な対象として、昼夜を通した支援体制を確保したうえで、事業所の生活支援員により介護サービスを提供します。

これをふまえて見ていきましょう。

 

会社、法人を作る

共同生活援助(グループホーム)は障害福祉サービスにあたります。障害福祉サービスは個人ではできないので会社か法人を作る必要があります。
法人の立ち上げは一人ではできませんが、会社の立ち上げは一人からでもできます。

株式会社を例に、会社を設立するときの大まかな流れを見てみましょう。

①会社名を決める

株式会社の場合、社名の前か後ろに「株式会社」という文言が必要です。
「○○支社」「○○支店」というような会社の一部門を示す社名や、同業他社で「同じ」もしくは「類似」した名前はNGです。

②会社の住所を決める

会社の住所はグループホームの住所と同じでなくても大丈夫です。

③事業の目的を決める

どのような事業をする会社なのか、業務をもとに事業目的を決めます。
共同生活援助(グループホーム)の指定を受けるには「障害者総合支援法に基づく共同生活援助事業」というように明確に書きましょう。

④資本金を用意する

資本金1円から会社を設立することができますが、資本金1円で会社を運営するのは現実的ではありません。
月々必要な費用を計算して、3カ月~6カ月分の運転資金を用意するのが一般的です。

⑤発起人と役員(取締役)

株式会社を設立するには「発起人」と「役員」が必要です。

「発起人」は会社を設立する際に資金を出資したり定款を作成したりといった会社設立の手続きを行う人で、会社設立後は「株主」と呼ばれます。
「役員」は発起人または株主に選任されて会社を経営する人です。
発起人と役員は兼任することができるので、一人でも設立できます。

⑥決算の時期

会社の決算の時期は自由に決められますが、繁忙期はなるべく避けた方がよいです。

 

障がい者グループホーム(共同生活支援)の指定を受ける

障害福祉サービスは自治体の指定を受けて行います。指定を受けるには、入居者が安心して利用できるための基準をクリアしているか審査を受けて、要件を満たす必要があります。なので指定を受けるために基準に沿った人員をそろえて設備を整えましょう。

▽人員基準

・介護サービス包括型

【管理者】
常勤1名  ※外部サービス委託型と共通です。

【サービス提供管理者】
<資格要件>(以下、①②を満たしていること)

①実務経験
障がい者の保健・医療・福祉・就労・教育の分野における直接支援・相談支援などの業務における実務経験(5~10年)。

②研修の修了(ア・イのいずれも終了
ア「相談支援従事者初任者研修(講義部分)」を修了
イ「サービス管理責任者研修(地域生活(知的・精神)分野)」を修了

<配置員数>
利用者の数を30で除した数以上
・利用者が30人以下     1人
・利用者が31~60人以下  2人
※外部サービス委託型と共通です。

【世話人】
・常勤換算数で利用者数を6で除して得た数以上
・資格要件はなし

【生活支援員】
常勤換算で以下のイから二の数(小数点第2位まで算出)を合算した数以上(小数点第2位を切り上げ)
イ 障害支援区分3の利用者数を9 で除した数
ロ 障害支援区分4の利用者数を6 で除した数
ハ 障害支援区分5の利用者数を4 で除した数
二 障害支援区分6の利用者数を2.5で除した数
▷資格要件はなし

 

・外部サービス利用型

【管理者】
常勤1名
※介護サービス包括型と共通です。

【サービス提供管理者】
<資格要件>(以下、①②を満たしていること)

①実務経験
障がい者の保健・医療・福祉・就労・教育の分野における直接支援・相談支援などの業務における実務経験(5~10年)。

②研修の修了(ア・イのいずれも終了
ア「相談支援従事者初任者研修(講義部分)」を修了
イ「サービス管理責任者研修(地域生活(知的・精神)分野)」を修了

<配置員数>
利用者の数を30で除した数以上
・利用者が30人以下     1人
・利用者が31~60人以下  2人
※介護サービス包括型と共通です。

【世話人】
・常勤換算数で利用者数を6で除して得た数以上
・資格要件はなし

【生活支援員】
外部の居宅介護事業所等に介護支援を委託して実施するため、配置は不要です。

 

設備基準(介護サービス包括型、外部サービス利用型、共通)

(1)設置場所
住宅地または住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあること。
※入所施設及び病院の敷地内にあってはなりません。

(2)最低員数
事業所の入居定員は、4人以上。

(3)1共同生活住居あたりの定員
新規に設置する場合   2~10人まで
既存建物を活用する場合 2~20人まで

(4)ユニットの定員
ユニットの入居定員は、2人以上10人以下とする。
※ユニットとは、居室及び居室に近接して設けられる相互に交流を図ることができる設備により一体的に構成される生活単位です。

(5)居室
居室の定員は1名。ただし、夫婦等で希望のある場合は2名でも可能です。
※事業者の都合で、一方的に2人部屋にすることは認められません。

居室の面積は7.43㎡以上(約4.5畳相当)であること。ただし、収納設備は居室面積から除くこと。

居室は、廊下、居間等につながる出入口があり、他の居室とは明確に区分されていること。
※単にカーテンや簡易なパネル等で室内を区分しただけと認められるものは含まない。

(6)その他
10名を上限とする生活単位ごとに台所、トイレ、洗面設備、浴室など日常生活を営む上で必要な設備をユニットごとに設けること。

相互交流スペース(食堂・ダイニング等で可能)を確保すること。

バリアフリーに即して、例えば、車いすの利用者がいる場合は、廊下幅や段差の解消を行うなど工夫が必要です。

 

 

指定申請の書類をそろえ申請

グループホームの場所や人員が揃い、準備が整ったら、指定申請書をそろえて指定申請を行います。
申請の前にあらかじめ管轄の自治体に相談に行くことをおすすめします。申請時に不備があると受理してもらえない可能性があるので、申請前に事前相談を行い、問題がないか確認しておくと安心です。
また、自治体によっては本申請の前に事前相談が必要なケースもあるので、自治体に確認しておきましょう。

 

▽申請時の主な流れ

事前協議当日 事前協議の必要書類を提出

   

本申請の予約 月1回の指定日に合わせて申請受付期間が決まっています。

   

本申請当日 申請書類一式を提出

   

指定時研修

   

指定書の交付

 

指定申請に必要な主な提出書の種類
・指定申請書
・付表
・会社、法人の定款
・会社、法人の登記簿謄本
・勤務形態一覧表
・管理者の経歴書
・サービス管理責任者の経歴書
・サービス管理責任者の資格証明書
・サービス管理責任者の実務経験証明書
・運営規定
・設備の平面図
・設備の案内図
・事業所の写真
・苦情処理に関する措置の概要
・事業計画書
・収支予算書
・賠償責任保険に関する書類
・事業所が賃貸の場合には賃貸契約書
・欠格事由に該当していない旨の誓約書
・協力医療機関の名称と内容の契約書類

指定申請時には登録免許税や手数料などがかかります。

 

障がい者グループホーム開設時の費用

会社設立費、物件の確保、改修するための初期費用、事務用品などの費用、人件費、指定申請時に必要な登録免許税や国に納める手数料といった費用が必要です。

賃貸物件を回収して小規模なグループホームを開設する場合、おおよそ1000万円ほどが相場と言われています。

各自治体には、障がい者グループホーム開設への支援費補助金などもあります。

 

まとめ

グループホーム立ち上げの大まかな流れがおわかりいただけたでしょうか。
簡潔に言うと法人を作り、障がい者グループホームの指定を受け、必要書類をそろえて申請、の3つです。