グランエミシス

エミシスだより

グループホームとは

2020年04月22日

コラム記事

はじめに

グループホームと聞いて、あなたは何を想像するでしょうか?
ホーム、つまり“家”のことを連想する人も多いのではないでしょうか。
グループホームとは、その人にとってまさに“家”のような場所です。

グループホームとは地域密着型サービスの一つで、高齢者や障がい者、親と一緒に暮らせない子供など、生活に困難を抱えた人たちが、専門スタッフ等の援助を受けながら、少人数、一般の住宅で生活する社会的介護、社会的養護の形態のことです。
グループホームには、大きく分けて障がい者用グループホームと認知症の高齢者用グループホームがあります。

障がい者用グループホームについて

このグループホームでは、孤立の防止、生活への不安の軽減、共同生活による身体・精神状態の安定などが期待されています。身体障がい者、知的障がい者、精神障外車、難病患者の方を対象としています。

平成26年4月1日よりグループホーム・ケアホームの2つに分かれていたサービスがグループホームに一元化されました。
従来のケアホームでは障害者程度区分が2以上でないといけませんでしたが、グループホームとの一元化に伴い障害者程度区分に壁がなくなり、基本的には障害の程度に関係なくグループホームへ入居することが可能となりました。

障がい者用グループホームには、介護サービス包括型、外部サービス利用型、日中支援型の3種類があります。

介護サービス包括型

グループホーム内の介護サービスは、事業者内で行うタイプのサービスです。
事業所の従業者が介護サービスを提供し、 利用者の状態に応じて介護スタッフを配置します。

外部サービス利用型

グループホーム内の介護サービスを外部の居宅介護事業所が行うタイプのサービスです。

介護サービス包括型と違う点は、外部の居宅介護事業者に介護サービスを委託している点です。

日中支援型

高齢であったり、障がいが重度であるために常時介護を必要とする方を対象としたサービスです。

重度障がい者への支援のために平成30年に新設された制度で、昼夜を通して生活支援員や世話人を配置することで手厚い支援体制を確保し、必要な介護サービスを提供します。

利用者の定員は20人です。緊急一時的な宿泊の場として「短期入所」が併設されていることも特徴に挙げられます。

サテライト型住居

本体住居となる障がい者グループホームで食事や余暇活動といったコミュニケーションをはかる場所があることが前提となり、そこから少し離れた場所にある一人暮らしに近い状態で生活を送れる住居のことを言います。

『サテライト型住居』単体ではグループホームになることは出来ません。

サテライト型住居は永続的に利用することは出来ません。
期限としては3年になっており、サテライト型住居へ入居してから3年を過ぎた時には一般住宅へ移行することが出来るように、入居した時からサポートや支援をおこないます。

冒頭で触れたとおり、グループホームには障がい者用と認知症高齢者用の2種類があります。

障がいのある方のグループホーム(共同生活援助)

対象者は知的障がい、精神障がい、身体障がい(65歳未満の方、または65歳に達する日の前日までに障害福祉サービスもしくはこれに準ずるものを利用したことがある方)高次脳機能障がいなどを持っている方です。

先ほども触れたように、グループホームは福祉施設というよりも“家”というほうが適切です。
地域のアパート、マンション、一戸建て等で生活する住居の場を言います。

グループホームの入居者に対して、入浴、食事などの介護や生活相談、その他日常生活上の支援を提供する福祉サービスが「共同生活援助」つまり障がい者グループホームの事です。

グループホームの入居期限は原則として設けられていませんが、グループホームによっては期限があり、入居期限終了後に再度更新することができる場合もあります。

利用者は、日中は就労継続支援事業所や生活介護施設に通うケースが一般的です。

また、短期入所と併設しているケースもあります。

日中一時支援では日中のみでしたが、短期入所の場合は夜間でも必要な支援や介護を受けることができます。

介護者の休息にもなる一面もあるので、様々な事情を踏まえた上で一度短期入所を利用することも可能です。

グループホームのメリット

  1. 自分らしい生活を送ることができる。
  2. アットホームでたくさんのコミュニケーションがとることができる。
  3. 自立を目指し自分でしようという気持ちを育むことができる。
  4. 必要なサポートを受けることができる。

グループホームのデメリット

  1. 医療的ケアが必要な方には対応できないことがある。
  2. 施設の数や定員が少ないので入れないことがある。
  3. 障がいの程度によっては入居できないことがある。
  4. 障がいや性格によっては馴染めない場合もある。

障がい者のグループホームは、スタッフの支援を受けながら自立した生活ができるので、将来一人暮らしをしたい、自分らしい生活を送りたいという方にとっては良い環境です。

また、障がい者グループホームは、自分のできる範囲を増やしていったり自己肯定感を高めていったりすることも可能な施設になりますので、障がいを抱えている方にとっては施設とは異なる新しい選択肢になり、今後も期待されている障害福祉サービスです。

認知症の方のグループホーム(認知症対応型共同生活介護)

グループホームといえば元々はこちらのことを指していたのですが、認知症のある要介護者が、アットホームな環境と地域との交流のもとで、介護スタッフによる入浴、排せつ、食事等の介護、その他の日常生活上の世話および機能訓練を受け、自分の能力に応じて自立した日常生活を送るために提供される福祉サービスです。

このグループホームの利点は、少人数の中で「なじみの関係」をつくり上げることによって、生活上のつまずきや行動障害を軽減し、毎日穏やかに暮らすことができることです。

対象者は、認知症の診断を受けた要介護1以上の方で自立して生活できる方、かつグループホームと同一の市町村に住んでいる方が対象となります。
なお、要支援2の方は、「介護予防認知症対応型共同生活介護」のサービスが受けられます。

メリット

  1. 認知症の方の介護を専門のスタッフに任せることができる。
  2. 少人数で落ち着いた生活を送ることができる。
  3. 家事を分担したり、レクリエーションをしたりすることで、認知症の改善や進行の緩和が期待できる。

デメリット

  1. 通院時や、トラブルが発生した時は家族の協力が必要になることが多い。
  2. 身体状態が悪くなると退所しなければならないことがある。
  3. 施設の数が少なく、長期入所が可能なので、待機期間が長い。

グループホームには大規模施設等にはない良さがあり、地域に根ざしたコミュニティを築くことで社会の一員としての自覚を持つこともでき、社会人としての感覚を感じつつ、自分を向上させ、自己実現を目指していくことができます。

歴史的な背景

高齢者を対象とした介護サービスとしてのグループホームはスウェーデンで誕生しました。
1980年代、スウェーデンの小さな街にある、ごく普通の二階建ての家で行われていた『グループリビングケア』という介護サービスが、今のグループホームの起源と言われています。
約10年後、日本でも今の認知症グループホームにあたる施設が開設され始めました。1990年代初め頃のことです。
その後1997年には厚生労働省によって地方対応型老人共同生活援助事業として介護サービスが法律で整備されました。
2000年には介護保険制度が作られ、認知症グループホームも制度化されました。
6年後、介護報酬の改定により、介護サービスに医療連携体制加算などが加わりました。利用者本人や家族にグループホームを終の棲家にしたいと希望されりようになり、どう利用者を看取るのか、といった課題が挙げられるようになりました。
そのため医療連携やスタッフの教育、制度の整備などが進められるようになったのです。

一方で障がい者グループホームにあたる場は、制度がつくられる以前にも、全国各地で「共同ホーム」として運営されていました。
制度スタート当初は、日中の場は通常の就労のみでしたが、その後、作業所等への福祉的就労が認められていきました。
そして、1995年には、新たに重度加算制度が設けられ、独自補助制度を始める自治体も出てきました。
2003年に「支援費制度」が開始し、それまでの「措置」から「契約」に変更になりましたが、ガイドヘルパーやホームヘルパーの利用者支援が活発になり、支援度(介護度)の高い重度の人もホーム利用が可能になりました。
ところが、2006 年「障害者自立支援法」に変わり、介助の必要な人を「ケアホーム」、ほぼ自立している人を「グループホーム」と色分けして運用を始めたのですが、どちらにも利用者負担や日割り単価、ホームのヘルパー利用不可、障害程度区分別の給付など、利用者や事業者にとても厳しい状況となりました。当時の提案ではグループホームの採算見込み定員を6名(以前は4名)だったため、障害者自立支援法のもと、全国のグループホームはその運営維持に悩まされることになりました。

その後、全国的な反発を受けて国は激変緩和策、小規模加算、重度加算と毎年制度の修正を重ね、現在に至ります。