グランエミシス

エミシスだより

グループホームと知的障がい

2020年10月08日

コラム記事

はじめに

知的障がいのハンディを抱えつつ、日々奮闘しておられる方々がおられます。
そうした状況の中で、グループホームでの生活という選択肢があることを知った方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、そうした時に少しでも役立つ情報をお伝えすることができれば嬉しく思います。
グループホームの生活はどのようなものか、費用はどのくらい必要なのか、どのようなサポートが受けられるのか、といった疑問にできる限りお答えしていきます。

どのような状態の人が入居しているのか?

障がいの程度、年齢によって違います。知的障がい者を対象とした入所施設と比較してみましょう。

最近はグループホーム、入所施設共に重度化傾向にあります。

グループホームに入居する際の費用

グループホームの家賃等の利用料は上限が設定されておらず、施設によって料金設定が異なります。
利用する方の収入は障害基礎年金と就労継続支援での賃金、もしくは障害基礎年金のみ、という方が多いため、多くのグループホームでは障害基礎年金の額(障害基礎年金2級の場合は月7万円)を目安に料金設定をしているようです。

グループホームに入居する方は、日中は就労移行支援や就労継続支援などの就労系サービスを利用したりデイサービスへ通ったり、一般就労している方など様々です。主に朝や夕方以降の時間をグループホームで過ごすことになります。そのため、グループホームの暮らしでかかる費用として主に以下の2つが挙げられます。

(1) グループホーム(共同生活援助)などの障害福祉サービスの利用料

(2) グループホーム(共同生活援助)利用中の食材料費・家賃・光熱水費

ここからさらに詳細を見ていきたいと思います。

グループホーム(共同生活援助)などの障害福祉サービスの利用料

グループホーム(共同生活援助)は障害者総合支援法が定める福祉サービスの一環で、利用料は1割負担ですが、利用者本人とその配偶者の所得に応じて負担上限額が決められています。「利用者本人とその配偶者の所得」なので、他の家族の収入や本人の預金、資産は関係ありません。複数の障害福祉サービスを利用しても上限額は変わりません。就労系サービスのみ利用していても就労系サービスとグループホームの両方を利用していてもかかる費用は同じです。多くの人は負担上限額0円になります。

負担上限月額の区分は以下のようになっています。

 

グループホーム(共同生活援助)利用中の
食材料費・家賃・光熱水費

家賃・光熱費・食費は施設によってそれぞれです。多くのグループホームでは障害年金の額を意識した料金設定をしています。

家賃についてですが、家賃助成として国から1万円の補助(特定障害者特別給付費)が支給されます。さらに市町村独自の家賃補助制度を設けている自治体もあります。

知的障がいについて — 補足

「知的機能の障がい」の判定基準

知的障害は「知的機能(IQ)」と「適応機能」の2つを合わせて判断します。「軽度」「中度」「重度」「最重度」の4つの等級があります。

「知的機能」では、知能検査(成人用知能検査であるWAISや、児童用知能検査であるWISCなど)によって測定された結果、平均から2標準偏差より低い(IQでいうと65-75)ことがひとつの目安になります。知能指数が70以を低下と判断します。

「適応機能」は、日常生活能力、社会生活能力、社会的適応性などの能力を測る指数です。

療育手帳とは

「療育手帳」は知的障がいと認められると発行されます。

療育手帳を取得するには、知的障がいであるという認定を受ける必要があります。

認定を受けるには専門の機関があり、18歳を境に認定を受ける機関が異なります。

18歳未満→児童相談所(児童福祉法に基づく)
18歳以上→知的障がい者更生相談所(知的障害者福祉法に基づく)

療育手帳はほかの障害者手帳と違い法で定められた制度ではないため、各都道府県知事、政令指定都市・中核市などが実施主体であり、手帳の名称や障がいの程度の区分、サービス内容は自治体によって異なることがあります。

知的障がいの判定基準の目安として、国の指導では、A(重度)、B(A以外)に分けられます。Aは重度、Bは中度~軽度ということになります。

以下の表は判定基準です。表記は自治体によって異なるのでこれは一例です。

重度と中・軽度の境は、国の基準でIQ-35が目安になりますが、IQが軽度の70~75以上 で、日常生活に支障がないと判断されたら手帳は発行されません。

障がいの程度は年齢と共に変わる事があります。その時は当然、再判定時に等級が変わることもあります。

療育手帳のメリットは、障がいの程度によって公共交通機関の割引や各種税金の免除、NHK受信料の免除、医療助成などの各種割引を受けることができることです。また、障害年金を受給する際の指標にもなります。

まとめ

このように、障がいの重さによって入居できる施設やサービスに違いがあることがおわかりいただけたと思います。
また、どの程度費用がかかるかについてもある程度把握できたのではないでしょうか。
ここでは知的障がいや療育手帳についても取り上げましたので、それを含めてさらにいろいろ知った上で、納得した状態でグループホームに入居できるようにしましょう。