グランエミシス

エミシスだより

グループホームとM&A

2021年04月15日

コラム記事

はじめに

グループホームを運営していていろいろな事情から経営が困難になってしまったとか、将来のことを考えたら後継者がいないなどの理由で困っているという方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回はグループホームのM&Aについて見ていきたいと思います。

M&Aとは

M&Aとは、英語の「Mergers and Acquisitions」(合併と買収)の頭文字を取った略語で、新聞などでは「企業の合併・買収」と説明されています。

合併とは……2つ以上の企業を1社に統合すること。
買収とは……一部または全部の株式を別の企業が買い取って、経営権を取得すること。

なお広義では、業務提携、事業のみの譲渡、株式の持ち合いや合弁企業の設立などもM&Aに含まれます。

グループホームの現状から見る
M&Aをしなければならなくなる訳

▽グループホーム運営の現状

現在、全国に11,000施設以上存在しているグループホームですが、その大半は1~数施設を運営するいわゆる小規模運営者と呼ばれる規模の法人が運営しています。
グループホームを運営するには複数の有資格者を確保しなければならず、人材の確保と管理が小規模運営者にとって重大な負担となっています。

▽要介護高齢者と介護給付費の増加

日本の高齢者数はこれまでにない早さで増加しており、2025年には、65歳以上の人口が総人口の3割を超えると言われています。

介護保険の対象となる高齢者数も、介護保険制度が始まった2005年の218万人から、2020年には657.4万人にまで増加しており、今後も増え続けることが見込まれています。

また、グループホームの利用者になり得る認知症の高齢者数も2002年では150万人ほどでしたが、2025年には700万人を超え、65歳以上の高齢者の5人に1人になるといわれています。

このような要介護高齢者数の増加に伴い、介護保険制度が開始した2000年には3.6兆円だった介護給付費が、2025年には21兆円にもなると見込まれています。

こうした厳しい状況において、年金や医療を含めた社会保障制度が持続可能であるのか疑問視されてきており、介護給付費の抑制は緊急の課題となっています。

以上のような背景もあり、人手不足による稼働率の低下やコスト増による収益の圧迫を理由としてグループホームの経営が困難であるため、後継者がなかなか見つからない経営者の方が多いようです。
そこでM&Aの実施を検討する方が増えています。

グループホームをM&Aをする場合の特徴

グループホームのM&Aでは拠点の営業権を事業譲渡する際、不動産を譲渡対象にしないこともできます。
この場合、買い手は土地・建物を賃貸借することになるため、売り手が土地・建物のオーナーであれば事業の売却後も継続して賃料収入を得ることができます。
※もちろん土地・建物も併せて売却することも可能です。

またグループホームのM&Aは、上記でも記した通り不動産の売却を伴わない事業譲渡で行われることが多いです。
グループホームを運営する小規模事業者は、経営者が不動産の所有者でもある場合が少なくないため、土地や建物の売却を希望しない方が多いからです。

譲受側も、不動産を買わず初期投資を抑えるという方が増えています。
不動産の譲渡を伴わない場合、譲受側は一定の事業譲渡対価でグループホーム事業を譲受後、土地・建物の賃借料として、一定の賃料を譲渡側に継続して支払うこととなります。

グループホームをM&Aをする時の流れ

▽専門家・企業の選定

まずM&Aの専門家を選びます。実績や特徴から信頼の置ける専門家を選びましょう。

▽専門家・企業と面談

次は面談です。ひと通り希望を伝えながら必要な情報を整理します。

▽自社情報の整理

相談内容を基に必要な資料をまとめます。不明な点はその都度M&Aの専門家に確認しながら進めます。

▽買収企業の調整

M&Aの専門家が買収を希望する企業へ打診します。

▽買収企業と面談(基本合意)

買収企業が見つかったら、売却企業と買収企業で面談をします。この段階で、より詳細な条件等を買収企業が確認し、買収の意思を示します。

▽買収企業の調査(デューデリジェンス)

買収企業が資産評価などの企業価値の評価を行います。

▽買収企業と面談(最終合意)

買収企業の企業価値の評価に基づき、売買の条件を調整して、合意に至ります。

▽関係者への説明

M&Aの影響を受ける関係者へ説明・連絡を行い、同意を得ます。

▽契約

契約を交わし経営権が移ります。

グループホームのM&A(事業譲渡・事業売却)の価格

多くのグループホームは土地・建物などの不動産を所有しているため、資産価値としての土地・建物の評価は重要な点です。帳簿価格もある程度参考にしつつ、近隣の土地の価格や建物の状況を把握する必要があります。

他にも従業員の状況・入居率・入居者の状況といった事業の現状で企業価値が割り出されます。こういった評価があるため、介護業界に理解の深いM&Aの専門家の助けが必要です。

M&Aをした場合のメリット、デメリット

まとめ

このように様々な理由で事業の継続が難しくなっている企業が多いようです。
事業を存続するためにはM&Aをするという選択もありかと思います。
困っている方は一度検討してみてはいかがでしょうか。